以前、推手の講習会に参加した時、先生から言われた言葉が、ずっと気になっていた。それは「相手と接する前に、腕から丹田への道を作っておく事。受け入れる準備を完了している事。」という言葉だ。
準備完了とはどんな状態を言うのか。バランスボールのように弾力のある身体/姿勢で居る事だろうと思う。
では、弾力のある身体/姿勢で居るには、どうすれば良いのだろうか。
①外圧が足裏に届く様に、骨の相対的位置関係(姿勢)を正しく保つ事。すなわち、虚領頂勁・含胸抜背・沈肩墜肘・尾閭正中・鬆腰鬆胯を守った姿勢で居る事だ。
②関節の隙間を十分開けて、外圧に対する自然な縮み代を確保しておく事、筋肉を伸ばす方向に使って、関節の隙間を開ける事。すなわち放鬆する事だ。腕から足裏までの間には、手首・肘・肩・胸椎・腰椎・胯・膝・足首等々沢山の関節がある。これらの関節の隙間が開いて居れば居る程、弾力のある身体と言えるだろう。
③太極拳の套路を習った時、受けてきた色々な注意事項は、推手の時も大いに役立つ。「目線を上げる」「動きは円を描く様に」「両腕は大きな球体を抱える様に」「身体は上下左右に引き延ばして」「下腹迄空気を送り込む様に」「腹圧が抜けない様に」「命門を後方に張り出して」「筋肉は目いっぱい伸ばして」「足は踏みつけない」「関節の隙間は潰さない」「身体を緩めて」「放鬆して」等々は、上記①②の為の、個別具体的な注意事項と言えるだろう。