昨日教室で推手の練習をした時、「全員が気を付けるべき注意点」として、先生が話された内容を下記しておきたい。
①套路練習をする事で身に付けて来た「正しい姿勢」とか「正しい動作」は、推手をする時も、しっかりと守るべきものである。と言うより、むしろ、1人でやる様な練習(套路練習)は、2人が対峙してやる練習(推手)を、上手にやる為の、基礎練習と言うべきものだ。
②推手では「相手の力を受け入れて、足裏に届け、それを弾力に変換して、相手に返す」と言うのが基本だが、その為には、身体のすべての部位が、パ~ンと張って居るべきだし、相手との接触点から足裏までが、部分的に折れる事なく、弓の様に弾力のある姿勢で居るべきなのだ。
③身体がパ~ンと張って居るとは、全身の筋肉が伸びる方向にだけ働いて居る、と言う事だ。倒巻肱で両手を開いた後、後ろの手を顔の所へ収める動作も、力こぶ筋を縮めて肘関節を曲げるのではなく、振袖筋を伸ばす事で後ろの手が戻って来るのだ。肘が角ばったVの字に曲がる事なく、指先がUの字を描くが如く自然と前に戻って来るのだ。
双峰貫耳では、肩を落としなさい、力こぶ筋(上腕二頭筋)が出しゃばるのを戒め、振袖筋(上腕三頭筋)を伸ばす事に意識を向け、身体の裏側の筋肉を使いなさい。と注意されると思うが、これも同じ事を言っている。
この様に、全身の筋肉を伸ばす方向にだけ働かせると、身体がパ~ンと張った様な掤勁が得られるし、関節のつまりが防止され、勁の通り道が確保されるのだ。
④折れない姿勢/弓の様に弾力のある姿勢で居る為にも、全身の筋肉は伸ばす方向に働かせておくべきだ。折れない姿勢/弓の様に弾力のある姿勢で居るには、虚領頂勁・沈肩墜肘・含胸抜背・斂臀・収臂・円襠・開胯・提膝が必要で、最初のうちは、筋肉を精一杯伸ばさないとその姿勢にならないだろうし、その姿勢を維持する為には、筋肉を伸ばし続ける努力が必要だろう。
⑤連盟の套路指導で「肘が明らかに伸びきったり、突っ張っている動作」を戒めているが、これを勘違すると「肘を伸ばそうと言う意識は持たない」とか「毛羽先の様な肘関節でも異常と思わない」と言った悪癖が付いてしまうので注意すべきだ。肘/膝が、伸びきる/突っ張るとは、ロックがかかる所まで過伸展させた状態を言うのであって、伸ばすと言う意識を捨てて、縮こまる事ではない。
⑥推手で塔手を組んだ時に、肘の裏側の振袖筋(上腕三頭筋)を伸ばす意識がないと、相手から受けた力が、肘部で外に逃げてしまい、足裏には到底届かない。全身すべての筋肉を伸ばす方向に働かせれば、受けた力が関節部から外に逃げてしまうのを防ぐ事が出来るのだ。
⑦推手で求められるのは、身体の一部で力が逃げてしまわない姿勢、勁が通る姿勢、弓の様に弾力のある姿勢だが、それを作る為には、虚領頂勁・沈肩墜肘・含胸抜背・斂臀・収臂・円襠・開胯・提膝が必要で、それらは、全身の筋肉を伸ばす方向に働かせる意識がないと体現できない。
先生のお話は大体こんな内容だったと思う。
私も全身を伸ばす意識を大切にしながら、今後の太極拳を続けていきたいと思う。