New1TR’s blog

太極拳の事について書こうと思います。

505)体重を乗せない虚歩前足で踏ん張る

虚歩では、後軸足に全体重を乗せ、前足には全く乗せない とか、体重を乗せない虚歩の前足で踏ん張る とかは、正しいのだろうか? 考えてみた。   

 

確かに、虚歩前足は虚の足、次の動作の準備をする自由な足の瞬間が有る事は分かるが、しかし、攻撃にしろ防衛にしろ、次の動作が決まった後は、その動作に適した準備をしているはずで、いつまでも自由な足では居れないだろう。

 

虚歩の前足は、踏ん張る足にも、踏み込む足にも、退く足にも、蹴る足にもなり得る足だが、次の動作を決めた後は、決めた動作に適した足になって居るはずである。

 

簡化24式太極拳套路では、次の動作が決まっている為、虚歩の前足は瞬間的には自由な足だったとしても、そのままでは居られず、役目が決まった足になって居るはずだ。

 

白鶴亮翅の虚歩前足は、両手で相手を分け広げる為の、踏ん張る足になったり、
相手を分け広げた後は、身体正面を守る為の、正面蹴りが出せる足になって居る。
手揮琵琶の虚歩前足は、相手の腕を取って更に1歩前に踏み込める足になって居るし、
攬雀尾の虚歩前足は、引き込んだ相手を横方向に飛ばそうと踏ん張る足になって居る。

 

この様に、虚歩前足は、次の動作の準備をする虚の足から次に行なう動作に適した足に変わって行くのだと思う。

 

虚歩ではないが、野馬分鬃の1回目が終わって、后坐→碾歩→収脚と動いた後、「上歩する右足の踵が着地する迄を考えてみる。軸足に100%体重が乗って居る間、上歩する足は、進歩/退歩/横進歩が可能な、体重を全く乗せてない自由な足だが、着地後は套路の次の動作が、両手を分け広げる動作と決まっている為、それに適した踏ん張る足に変わって行く。これは虚歩前足と同じだ。

 

では体重を乗せないで、虚歩前足を踏ん張る事は可能なのか? について考えてみる。

 

蹬脚では、軸足に100%体重を乗せたままで、反対側の足を蹴る事が出来る。この時体重が、蹴り足に移動しているわけではなく、自分の身体の中の力(筋力・勁力・弾力)で蹴っているのだと思う。蹬脚と同様な事が他でも考えられる。例えば。白鶴亮翅の定式から、軸足に100%体重を乗せたまま、体重移動を伴わずに、虚歩の前足で正面蹴りをする事も出来るはずだ。

 

虚歩前足で正面に蹴る事が出来るのなら、全く体重を乗せない虚歩前足踏ん張る事も、出来るのではないか。虚歩前足に体重を移動して踏みつけるのではなく、自分の身体の筋肉を伸ばす事で、発生する筋力/勁力/弾力によって、蹴る/踏ん張る と言う事だ。

 

蹴る/踏ん張る等、役目が決まった足でありながら、体重をかけない虚歩前足が、有ってもおかしくない。。。。ただ、蹴る/踏ん張ると言う役目が決まった瞬間に虚の足ではなく、実の足に変わっているのだろうが。。。。

 

自由な虚歩前足を、蹴る/踏ん張る/踏み込むと言う事と、体重を移動する/体重配分を変えると言う事を、同一視して考えるのは、大きな間違いだと思う。