New1TR’s blog

太極拳の事について書こうと思います。

503)身体の中の弾力

2段の昇段試験は「太極拳の姿勢と身体の動かし方」についての試験だが、3段の昇段試験は「身体の中の弾力」の試験だと先生から言われた事が有る。

 

3段1次試験はペアによる四正推手とその応用推手(掤/捋/擠/按)になる様だが、これも上手にやる為には「身体の弾力」が、絶対に必要になって来る。

 

身体の弾力とは何だろうか?身体の弾力はどの様にして養うのだろうか?自分もその事が分からず悩んだ経験が有る。

 

身体の弾力についての、自分のこれまでの理解と、先生や先輩からのアドバイスを思い起こして書いてみよう。

 

身体の弾力=掤勁=身体全体を引き伸ばして居る力=外力に対し押し戻そうとする力=身体全体を引き伸ばして居るから、外力がかかった時に元の位置に戻ろうとする反力=空気で膨らんだバランスボールの様に、押したら跳ね返って来る力=外側に向けて張り広げられたトランポリンの様に跳ね返えす力のイメージだ。

 

だから、筋肉を縮めて出す様な力ではないし、意識して縮めた後に伸ばす力でもない。垂直跳びの様に、いったん筋肉を縮めて深く沈み込んでから、飛び上がる様な力ではないと言う事。むしろ連続して二重飛びをする時の様に、足の筋肉は常に伸びた状態をキープしているのに跳ね返りの力はある。そんなイメージだ。

 

最近推手のペア練習をした時に、ふと「身体の弾力」について思う事があった。

 

それは、パンパンに張った身体が持つ弾力を感じることなく、手羽先の様に力なく曲がった腕の形(扁=つぶれ)で推手の練習をしても、何の役にも立たない。腕は曲がって居ても、背中を通じて両腕が引っ張りあってないといけないと言う事。

 

頂=ぶつかる事を気にするあまり、パンパンに張った身体を作らないでやる練習・自分の身体の弾力を相手に伝えられない練習・形だけを作った練習・勁のやり取りを味わえない練習。こんな練習をしていては駄目だという事。

 

例えば、甲からの掤勁を乙が受けて後ろに飛びのく練習の時、甲の掤勁が乙に伝わる前に、乙は掤勁を感じないまま、暗黙の了解で、飛びのいてしまうのは駄目だと言う事。

 

甲は乙に勁を通した感覚がなく、乙は勁が自分の足裏に伝わった感覚がない。そんな練習では、お互いに気持ち良さを感じられないだろう。2人が一体化した瞬間が無いと駄目だと思う。甲からの掤を乙がちゃんと受けて、足裏に勁が届いた事を確認して、飛びのくべきである。

 

推手の四大病と言われる内容を、今一度戒める意味で書いておこう。
推手の四大病=丟扁頂抗……丟=離れる扁=つぶれる頂=ぶつかる抗=あらがう
勁を受ける時、ぶつからない様にと意識しすぎて、つぶれてしまうのも駄目だろう。
空気がぬけてスカスカのバランスボールの様に、押しても跳ね返りのない=つぶれて弾力の無い相手とは、推手をしても身持ち良くないと思う。