New1TR’s blog

太極拳の事について書こうと思います。

496)たかが弓歩、されど弓歩

太極拳の初心者に一番最初に教えるべきは弓歩の形だと思う。

初級/入門太極拳ではなく、簡化24式太極拳套路を最初に教える指導者は多いが、弓歩の形を重視して教える指導者は少ない。手の事ばかりに指導が偏って弓歩の形に重きを置いていない様に思える。

 

初心者が、起勢から野馬分鬃に動く時、最初に上歩する左足の位置と向きは無茶苦茶。右足の蹴り出しもない。正しい弓歩の形を知らない為、足を置き直そうともしない。スポーツクラブの太極拳教室では、こんな風景が良く見られる。

 

教室では、沢山の人を同時に教えているし、色んなレベルの人が入っているから、こんな初心者がいても、丁寧な指導が行き届かないのも無理はない。

しかし、弓歩の形は大事である。「たかが弓歩、されど弓歩」と言われる様に、どんなレベルの人でも、そのレベルに応じて、弓歩の形を見直す機会が必要なはずだ。

 

初心者にはまず、弓歩完成時の、左足爪先の向き、右足爪先の向き、左右足の横幅を身体で覚えさせた上で、その状態になる様に、左足の脛が地面に垂直になるまで、右足を蹴り伸ばして弓歩になる。と言う事を何回も繰り返し練習させるべきだ。

 

24式の套路が通せる人には、前引きや膝つぶれのない弓腿/弓歩を体得させる。連盟の有段者には、弓歩完成時の、後ろ膝の曲がり/後ろ胯の狭まり/腰の向き/円襠を、再確認させるべきだろう。

 

套路後半には弓歩になる動作が幾つも有り、注意すべきポイントも沢山有る。例えば、
①攬雀尾の弓歩と閃通臂の弓歩では、身体の向きに微妙な違いが有る。
②双峰貫耳や穿梭では斜め方向へ弓歩する為、横幅が不足し円襠の確保が難しくなる。
③蹬脚への過渡動作や下勢から独立への過渡動作では、無意識に弓歩をしている。

 

正しい形の弓歩が出来ればこそ、次の動作も正しい形になるし、手の動きや身体の動きとの協調一致も出来るし、気とか勁とかを感じる事も出来るのだと思う。

 

最初に正しい弓歩の形を覚えず、間違った弓歩の癖がつくと、あとで苦労するし、下手をすれば膝を痛める原因にもなると危惧している。