今回3段に合格した人から「県大会に出場するので、太極拳のどこを重点的に練習したら良いかアドバイスして欲しい」と依頼され「無駄な動きを極力抑え、シンプルに動く事を意識した方が良いですよ」とアドバイスした。
具体的には、
①手首から先が身体の動きと遊離して、ペラペラと動いている。身体に動かされた結果として動く手は良いが、手単独では動かさないと言う意識が必要だ。套路動作のあちこちで、手が無意識の内に単独で動いて、無駄な動きとなっているので、これを極力減らす様にした方が良い。
例えば、摟膝拗歩で碾歩した時の下の手。身体の向きが変わるのに同期して、手の平が下向きから上向きに変わるだけで良いのに、下の手が無意識下で動いて、うろうろしている。これが無駄な動きである。
他の例では、摟膝拗歩や攬雀尾で推掌した後の手。后坐する身体の動きに同期して、自然と座腕が解けるだけで良いのに、手首を勝手に動かして座腕を解いたり、手の位置が波打つ様に動いている。これが無駄な動きである。
②頭が上下に動き過ぎるのも無駄な動きである。太極拳では、自分の準備が整うまで、相手に動きを隠しておく事が肝心。
結節点で次の動作を始める前には、身体を緩めるが、この時、頭が上下に動かない様に注意する事。
野馬分鬃とか摟膝拗歩で后坐→碾歩の後、収脚する時に、前の股関節を柔らかく使って伸び上がらない事。頭の高さを変えない事。
③結節点での膝の曲げ伸ばしも無駄な動きである。手や頭もそれにつられて動いてしまうので注意する事。
身体を緩めるには、膝の曲げ伸ばしをするのではなく、背中と腰の緊張を解く事が大切。まずは、背中を緩める練習をする。背中が緩んで来るとやがて腰も緩められる様になる。
背中に担いだ重い荷物をおろして「ほっとした」時の背中が、緩んだ背中である。太極拳の動作中も、この「ほっとした」時の背中を持続する様に練習するのが良い。
手のうろつきや波打ち、頭の上下動、膝の曲げ伸ばし、これらを無くして、シンプルで静かな動きの太極拳をすれば、県大会の成績も上がるだろう。頑張ってほしいものだ。