New1TR’s blog

太極拳の事について書こうと思います。

356)脱力と安定を追求

昔書いた太極拳メモを読んでいたら、習い始めた頃に、先生から言われた言葉が、出て来たので紹介しておこうと思う。

今世の中で、西洋的な物の見方と東洋的な物の見方の違いが話題になって居る。

スポーツは大体において、”△△競争”とか、”XX対抗戦”と、言い換える事が出来、一生懸命にやりだすと「より早く、より強く、より完全に」を求めてしまう。

どうしても、他者と比較をしてしまうし、他者に勝つために自分を痛めつけてしまう。痛めつけた筋肉は超回復によって、元々の筋肉より、強い筋肉になると言う理論を、勘違いしてしまう。強い筋肉=強い身体=心身ともに健康になれる と、思ってしまう。

しかし、身体の一部分を痛めつけ、その一部分だけが、強化されるのだから、行き過ぎると、どうしても身体のバランスが崩れて来るし、精神的なバランスも崩れてしまう。

太極拳では「より早く、より強く、より完全に」を求めません。他者との比較をしません。自分の身体をとことん見つめ、「もっとリラックスして、もっと心地よく、もっと自然に」を求めるのです。

自分の身体と対話しつつ、気持ち良さを求めて行く。養生的な要素が多分にあります。

太極拳は、武術でありながら、力をぶつけ合って相手を倒す武術ではないのです。

相手の力を受け入れて、そのまま相手に返すか、方向を変えて受け流すか、です。

それを可能にするのが「上虚下実」で、上半身は柳の枝のごとく柔らか、下半身は根が生えた如く少しも揺るがない。そんな姿勢で動き続けるのが太極拳です。

だから、太極拳習得の最初の一歩は脱力と安定です。

身体の何処に「りきみ」が残っているか、もっと緩められないか、を徹底的に追及し、リラックスしているが、萎えては居ない姿勢と、押されても引かれても、安定して立って居られる位置を見つける事です。